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『脳天パラダイス』の立ち上がりの瞬間

執筆者の写真: C・C・PC・C・P

今日はとうとう”脳天”の企画が生まれた瞬間のお話。クラファンのアップデートやパンフレットのプロダクションノートで出たりしてるので、知っている人も結構いるかもしれないですが…


3年前のある日、新宿にあるシネマインパクトの事務所で政志さん(山本政志監督)と僕は別の映画の打ち合わせをしていた。

(この企画もとても面白くて、全編マレーシアロケ、僕がマレーシアに一年行っていた時に政志さんがクアラルンプールまで来て、夜な夜な二人で怪しい場所を探して歩き回り作った企画)


二人で問題点や、今後の進め方などを話して、ひと段落。結構いい時間になっていたので、まあ、当然のように「軽く一杯行きましょうか?」みたいな軽いノリで(今はなかなかそれもできなくなりましたが)知り合いのお店に行くことに。


お店に行くと、たまたまそこに内田英治監督が(『獣道』や『ミッドナイトスワン』など)いて、僕は面識が少しある程度だったが、政志さんとは親しかったようで(今回は政志さんのいつもの得意技、どこかですれ違っただけなのに10年来の友達のような顔をして接するというやつではなかったみたい)同じ席で飲みましょうということに。


そこで内田監督の口からまたしても、たまたまの一言が。

「ちょうど昨日の夜山本さんの『タンポンタンゴ』観たんですよ〜めちゃくちゃ面白くて〜」っと


『タンポンタンゴ』とは今から30年近く前に政志さんが撮ったかなりぶっ飛んだ作品。


「え?観れんだ?タンポンタンゴ。あれはまあ、勢いでやったやつだからな〜超おばかだろう」と政志さん。


「いや、だからこそすごい良かった。っていうか最近の山本さんが、少しインテリぶってんじゃないですか?」


「いやいや、俺はどうしても滲み出ちゃうのよ、作品に知性が」この辺から雲行きが・・・


「へー、俺はああいうパワーある山本さんの作品観たいけどなー」


「いや、俺はその気になればあっちのやつはいくらでもできちゃうからさ、今はもっと違うもんやろうとしてるしさ、なあーしんちゃん!」

と言われて思わず、


「俺も政志さんのそういうの観たいけどなー、理屈抜きで、勢いで突っ走る!みたいなやつ」


「何言ってのしんちゃん、お前もやっぱりいかれてんなー、マレーシアロケの打ち合わせしたばっかじゃん!」


そこでまた内田監督

「本当にできるんですかー?もうあの頃には戻れないんじゃないんですか?」


少しプチンときた政志さん、

「やってやるよ、本気の俺のぶっ飛んだやつやるからな、観てろよー、こういうのは勢いが大事だから、早速明日から本作りするからなー」


と、売り言葉に買い言葉?マレーシアの企画を追い越して、脳天が先にこの世に出ることに。


その後もあれよあれよと物事が進んでいき、あっという間に制作までたどり着く。

正直僕は今まで関わった作品でこの子が一番産まれようとする力が強かった!


大体産みの苦しみというか、映画制作にたどり着くまでに、長く辛い道のりがあるのだが、この子は本当にとんとん拍子で事が進んでいった。


企画立ち上がりの勢いそのままに、映画にもエネルギーとパワーが込められた映画になったと自負しているし、とても満足している映画だ。



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